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叢生の治療例9(上顎中切歯翼状捻転)、非抜歯

叢生治療例9

症状
上顎両側の中切歯が対称に捻じれています。このような捻じれ方は叢生の中でも八重歯と並んで出現率の高い典型的な症状の一つで、咬合面から見ると鳥の翼のように見えることから翼状捻転と呼ばれます。また、上顎左側側切歯が舌側転位しています。下顎両側中切歯の舌側傾斜も認められます。スペースの不足量は上顎5mm、下顎3mmと比較的軽度です。
下顎前歯部に軽度の歯肉炎が認められますが矯正治療の進行には特に問題にならないでしょう。

治療
叢生の程度から非抜歯で歯の配列を行うことにしました。若干受け口傾向を有していましたので、治療の終盤で下顎前歯を僅かに削って下顎前歯を中に入れるスペースを得ました。
このような軽度な叢生の場合、治療装置の選択肢は多いです。唇側矯正装置舌側矯正装置マウスピース型カスタムメイド矯正装置「インビザライン」なども候補に挙がると思いますが、患者様ご自身に矯正装置を装着することに対する抵抗感がなかったのでオーソドックスに唇側矯正装置を選択しました。
治療期間は12か月間でした。
本症例を唇側矯正装置、舌側矯正装置、インビザラインで治療したと仮定してそれぞれのメリットデメリットを考えてみたいと思います。
唇側矯正装置を使用した場合のメリットは治療費が最も安価、治療期間が最も短いことでデメリットは装置が最も目立つ、となります。
舌側矯正装置のメリットは最も目立たない、デメリットは治療費が最も高価、治療期間は唇側矯正装置とインビザラインの中間です。
インビザラインのメリットは目立たない、治療費が唇側矯正装置と同程度(やや高価)、デメリットは最も治療期間が長い、となります。
使用する矯正装置はこれらを総合的に判断し患者様のご希望をふまえて決定します。

治療の目安

主訴
歯のデコボコを治したい
診断名
叢生
年齢
18歳 女性
治療に用いた主な装置
マルチブラケット装置
抜歯部位
非抜歯
治療期間
12か月間 / 月に約1回の通院
治療費
約780,000円(税込)
リスクと副作用
  • 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
  • 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
  • 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。

【マウスピース型カスタムメイド矯正装置「インビザライン」について】

  • マウスピース型矯正装置「インビザライン」は、日本国内では医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けていない未承認の医療機器です。材料については日本の薬事認証を得ております。
  • 米アライン・テクノロジー社の製品の商標であり、インビザライン・ジャパン社から入手しています。
  • 日本国内において医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けている同様の医療機器は複数存在します。
  • 1998年にFDA(米国食品医薬品局)により、医療機器として認証を受けています。
  • 日本では完成物薬機法未承認の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

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