開咬治療例3(上下顎両側第一小臼歯抜歯、唇側の矯正装置)
症状・治療方針・治療
初診時年齢:28歳
性別:女性
主訴:前歯で咬みきれない
症状・治療方針
叢生は軽度ですが、口唇の突出感が認められたため上下顎両側の第一小臼歯を抜歯することにしました。
治療器具:マルチブラケット装置、トランスパラタルアーチ
治療期間:1年4か月
不正咬合を大別すると、叢生(乱食歯)、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、開咬(前歯が咬んでいない)となります。開咬はオープンバイト(open bite)ともいいます。これ以外にも過蓋咬合(deep bite、咬み合せが深過ぎる=開咬の逆)などもありますがほとんどの症例は4つの不正咬合に分類できます。この中で開咬は比較的出現頻度が低い症状といえます。
治療も叢生(歯と歯槽骨の大きさの不調和)、上顎前突(上顎が下顎に対し相対的に前方位にある)、下顎前突(下顎が上顎に対し相対的に前方位にある)は主に水平的な問題に対するアプローチですが、開咬は垂直的な問題へのアプローチであることが大きな違いです。
開咬の基本的な治療方針は「前歯を挺出する」あるいは「臼歯を圧下する」のいずれか、あるいはその両方からアプローチすることになります。
本症例では口唇の突出感も認められたことから抜歯治療を選択しました。上下顎前歯を舌側方向に傾斜させることで同時に開咬症状の改善にも有利に働きました。
一般的に叢生、上顎前突、下顎前突、開咬の中では開咬の治療が最も難しいとされています。これは水平的な問題の解決はワイヤーの調整だけで解決してしまう要素が大きいのに対し、垂直的な問題の改善には顎間ゴムの使用など患者様の協力が必要になることが多いことに起因しています。
治療の目安
- 主訴
- 前歯で咬みきれない
- 診断名
- 開咬
- 年齢
- 28歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- マルチブラケット装置、トランスパラタルアーチ
- 抜歯部位
- 上下顎両側第一小臼歯
- 治療期間
- 1年4か月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約850,000円(税込)
- リスクと副作用
-
- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- 治療中、顎間ゴムなどの使用をお願いすることがあります。使用状況によっては当初期待していた治療結果が得られない可能性がありますので歯科医師の指示通りにご使用くださいますようお願いいたします。
Case1:空隙歯列1(マウスピース型矯正装置「クリアアライナー」、非抜歯) へ