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大人の出っ歯(上顎前突)の治療と治療費の目安
ここでは典型的なケースを取り上げて、予測される矯正治療方法、矯正治療期間、矯正治療費用の概略を説明します。患者様の症状に近い写真を探して参考にしてください。
想定している年齢層
年齢層:小学校高学年~成人
ここでは乳歯と永久歯の生え変わりが済んだ状態を想定しています。個人差はありますが概ね小学校の高学年で乳歯と永久歯の交換が終わります。
想定している口腔内写真
成人の出っ歯(上顎前突)の矯正治療に関する基本的な考え方
成人の出っ歯の治療はその程度、治療目標によって抜歯をするか非抜歯で治療するかを考えます。治療目標とは上顎の前歯と下顎の前歯の位置関係だけではなく、口元の審美面についても重視します。出っ歯の方は上顎の前歯によって位置づけられる上唇が突出していて口が閉じにくい傾向があります。この上唇をどの程度後退させるのか?あるいは患者様が口元の突出間をどの程度気にされているのか?ということを考慮に入れながら治療方針を決定していきます。
非抜歯での治療に関しては、理論的には可能であっても現実問題としては治療期間の問題から難しいことが多いといえます(5年も6年も全ての歯に矯正装置を付けていても構わないという条件なら可能です)。ですから中程度以上の症状の場合、きちんと治すためには抜歯が必要なことが多いと考えて良いと思います。
成人の出っ歯(上顎前突)治療の目的
- 審美的な口元
成人の方の出っ歯の目的といえばやはり審美面を重視しないわけにはいけません。成人で出っ歯を気にされて来院される患者様の9割以上が審美面を気にしての来院です。前歯が突出していることで、意識しないと口を閉じることができないばかりでなく、唇がめくれ上がって厚ぼったい唇に見えてしまいます。矯正治療は上顎前突による口元の突出感を改善することができます。 - 歯周組織に優しい歯並びに
出っ歯の方は普通にしているとお口がポカンと開いてしまうことが少なくありません。そのため、特に夜間就寝時、上顎前歯の裏側の歯茎が乾燥します。これは歯周組織にとってとても良くないことなのです。若いうちは体の抵抗力もあってさほど重症化しませんが、一旦歯周病に罹ると加速度的に症状が悪化します。歯列矯正は予防歯科的な意味合いも持ち合わせているのです - 外傷を防ぐ
転倒して歯を折ることがあります。どの部位が多いと思いますか??当然前歯ですが、特に出っ歯の方の上顎の前歯が非常に多いのです。これは歯科医としての経験則的なものですし、歯を折るくらいの勢いで転倒すれば歯並びに関わらず歯が折れるような気もするのですが現実問題としてそうなのです。もっともそれ以前に転ばなければいいとも言えますが・・・。 - 咀嚼効率の改善
下顎は後方の可動域が狭く、前方には比較的広範囲に動かすことができます。そのため、受け口ほどには咀嚼に悪影響を及ぼしませんが、上下の前歯を重ねることが出来ないほどの出っ歯であれば、当然咀嚼効率に悪影響を及ぼしています。 - 発音
咀嚼効率と同じ理由で、受け口ほどではありませんが、程度によっては発音にも悪影響を及ぼしているはずです。
成人の上顎前突治療に使用される代表的な矯正装置
- 唇側の矯正装置
- 舌側矯正装置(裏側の矯正装置)
- マウスピース型矯正装置「インビザライン」
- マウスピース型矯正装置「クリアアライナー」など
想定される矯正治療期間、通院頻度
- 矯正治療期間約1年~2年半、1ヶ月に一度の通院
想定される歯列矯正治療費(自費)
検査・診断料金 | 27,500円(税込) |
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矯正治療基本料金 | 660,000円(税込) |
治療毎の矯正処置料金 | 5,500円(税込) |
矯正治療費合計 | 約850,000円(税込) |
注・上記は唇側矯正を用いた場合を想定しています。舌側矯正の場合は総額で130万円前後が目安になります。また、軽度~中程度の上顎前突の場合、「クリアアライナー」や「インビザライン」という取り外しのできるマウスピースタイプの矯正装置で治療が可能です。
治療の目安
- 治療内容
- 矯正装置を通じて歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かし、歯並びと噛み合わせを治します。
- 治療期間・回数
- 矯正 1年半~2年前後・1回/2~3か月 保定 2年前後・1回/3~4ヶ月
- 一般的な治療費総額の目安(自費)
- 約870,000円(税込)
- リスク、副作用
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- 歯みがきが不完全なまま長時間マウスピースを装着すると虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めてマウスピースを装着した時や取りかえた後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 小児や骨格性要因を含む症例には適さず、精密な歯の移動は原則として困難で満足な結果が得られない場合があります。
- 適切な装着時間を守らないと歯が動かず、治療期間も延長します。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- リテーナー(保定装置)を適切に使用しない場合は、後戻りすることがあります。
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