成人の上顎前突2(マウスピース型カスタムメイド矯正装置「クリアアライナー」、非抜歯)
初診時正面
初診時上顎
初診時下顎
成人女性の患者様。上顎右側中切歯の前突を気にされての来院でした。軽度の叢生に加えて上顎中切歯間の空隙も認められ(正中離開)、下顎前歯にも叢生が認められます。奥歯の咬み合わせは標準的で前歯の唇側傾斜による上顎前突症です(歯性の上顎前突症)。
矯正装置の候補としては唇側矯正装置、舌側矯正装置、マウスピース型カスタムメイド矯正装置の「インビザライン」、「クリアアライナー」が挙げられましたが患者様が見えない矯正装置を希望されたことと、症状が軽度であることから「クリアアライナー」(現在は商品名が「アソアライナー」に変更されています)を選択し治療を開始しました。
同様のマウスピースタイプの矯正装置として「インビザライン」というものもあります。その使い分けは軽度な症状がクリアアライナー、中程度以上の難易度の症状がインビザラインということになるでしょう。
治療開始3ヵ月正面
治療開始3ヵ月上顎
治療開始3ヵ月下顎
治療開始3ヶ月目の口腔内写真。前歯もかなり揃ってきました。また、中切歯間の隙間もほぼ閉鎖されています。クリアアライナーは1日18時間以上の装着をお願いしておりますが、協力度は良好で患者様の装置使用時間に全く問題はありませんでした。
終了時正面
終了時上顎
終了時下顎
治療期間は8ヵ月でした。
クリアアライナーはこの症例のように比較的短期間に治療が終了すると予測されるケースに適しているのですが、インビザラインと治療可能な症状が重複することもあり最近ではもっぱら上下顎いずれかの部分的な矯正治療を行う場合に選択しています。
上下顎を同時に治療するケースでは治療費もインビザラインとほぼ同じになってしまうためクリアアライナーのメリットがあまりなくなってしまうからです。
治療の目安
- 主訴
- 上顎右側中切歯の前突
- 診断名
- 上顎前突、叢生、正中離開
- 年齢
- 22歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- マウスピース型カスタムメイド矯正装置(クリアアライナー)
- 抜歯部位
- 非抜歯
- 治療期間
- 8ヵ月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約660,000円(税込)
- リスクと副作用
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- 歯みがきが不完全なまま長時間マウスピースを装着すると、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めてマウスピースを装着した時や取りかえた後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 小児や骨格性要因を含む症例には適さず、精密な歯の移動は原則として困難で満足な結果が得られない場合があります。
- 適切な装着時間を守らないと歯が動かず、治療期間も延長します。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- リテーナー(保定装置)を適切に使用しない場合は、後戻りすることがあります。
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