成人の下顎前突・受け口・反対咬合(唇側矯正装置、抜歯、上顎両側切歯先天欠如)
初診時正面
初診時上顎
初診時下顎
成人女性の患者様。歯の凸凹と前歯が反対になっていること(下顎前突)を気にされての来院です。上顎の両側切歯が先天的に欠如しています。上顎の左側に残存している乳犬歯、下顎の両側第一小臼歯を抜歯し、唇側矯正装置で治療することにしました。
余談ですが、下顎両側の側切歯のうち、いずれか1本が先天欠如して下顎の前歯が3本の患者様は比較的多いです。小学校でいえば、クラスに1、2人はいるという確率でしょうか。
一方で上顎側切歯の先天欠如はあまり見かけません。上顎側切歯は退化傾向にあることは事実で矮小歯(正常よりも小さく丸くなった側切歯)は良く見かけますが、先天欠如は比較的少ないです。ところが、下顎側切歯の矮小歯は見たことがありません。
普通に考えると正常形態から矮小化が進行し先天欠如が多くなるというのが理解はしやすいのですが、どうやらその認識も間違っているのかもしれません。歯の本数が少なくなっていることは人類の進化の過程の一現象のようですが、なぜ上顎の側切歯が先天欠如ではなく矮小歯になり、下顎の側切歯が矮小歯ではなく先天欠如になるのか、、、不思議です。
治療開始後11ヵ月正面
治療開始後11ヵ月上顎
治療開始後11ヵ月下顎
治療開始11ヵ月目の口腔内写真。凸凹はほぼ改善されていますが受け口がまだ治っていません。
終了時正面
終了時上顎
終了時下顎
治療期間は18ヵ月でした。
本来は上顎側切歯が位置する部位に上顎犬歯が位置しています。それほど違和感を感じないように思いますがどうでしょう。もちろん患者様が気になさるようであれば形態修正します。
治療の目安
- 主訴
- 歯の凸凹と前歯が反対
- 診断名
- 下顎前突・受け口・反対咬合
- 年齢
- 25歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- マルチブラケット装置
- 抜歯部位
- 上顎左側乳犬歯、下顎両側第一小臼歯
- 治療期間
- 18ヵ月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約790,000円(税込)
- リスクと副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。