叢生治療例13(マウスピース型カスタムメイド矯正装置「インビザライン」、非抜歯)
症状
主訴は前歯の凸凹を治したいということでした。
口腔内写真から上顎左右中切歯の翼状捻転、下顎左側中切歯の舌側転位を認めます。
叢生の程度、上顎前歯唇側傾斜の程度から非抜歯で治療を行うことにしました。このように抜歯の必要がない症例では矯正装置の選択の幅がありますが、患者様が見えない矯正装置をご希望でしたのでマウスピース型矯正装置インビザラインで治療を行うことにしました。
治療
インビザラインの当初の治療計画ではアライナーが17セット必要ということで、治療期間は8か月半の計画でした。症例写真の治療中の画像が17セットのアライナーを使用した後の状態です。
初診時と比較し、翼状捻転の改善が顕著ですが、正面像において特に下顎右側側切歯の歯軸が遠心に傾斜しているのが気になります。そこで、患者様に了解を得てケースリファイメント(微調整用のインビザラインを作成し治療を継続すること)を行うことにしました。ケースリファイメントは微調整用のインビザラインのことで、当院では3回のケースリファイメントを無料(処置費用はかかります)で行うことができます。
結果、3回のケースリファイメントを行い治療を終了しました。当初の予定は8か月半でしたがケースリファイメントを3回行ったために合計で47セットのアライナーを使用しました。47セットのアライナーに対する治療期間は23.5か月ですが、作製する期間もありますので結果的に治療期間は2年3か月でした。
≪本治療におけるアライナー数≫
最初のアライナー数:17セット
1回目のケースリファイメントのアライナー数:11セット
2回目のケースリファイメントのアライナー数:11セット
3回目のケースリファイメントのアライナー数:8セット
治療の目安
- 主訴
- 前歯の凸凹を治したい
- 診断名
- 叢生
- 年齢
- 20歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)
- 抜歯部位
- 非抜歯
- 治療期間
- 2年3か月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約910,000円(税込)
- リスクと副作用
-
- 歯みがきが不完全なまま長時間マウスピースを装着すると虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めてマウスピースを装着した時や取りかえた後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 小児や骨格性要因を含む症例には適さず、精密な歯の移動は原則として困難で満足な結果が得られない場合があります。
- 適切な装着時間を守らないと歯が動かず、治療期間も延長します。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
【マウスピース型カスタムメイド矯正装置「インビザライン」について】
- マウスピース型矯正装置「インビザライン」は、日本国内では医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けていない未承認の医療機器です。材料については日本の薬事認証を得ております。
- 米アライン・テクノロジー社の製品の商標であり、インビザライン・ジャパン社から入手しています。
- 日本国内において医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けている同様の医療機器は複数存在します。
- 1998年にFDA(米国食品医薬品局)により、医療機器として認証を受けています。
- 日本では完成物薬機法未承認の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
NEXT→CASE28はさみ状咬合1(唇側矯正装置、非抜歯)