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上の2番目の歯が内側に入っています。部分矯正で治せますか?
患者様からのご質問
上の2番目の歯が内側に入っています。気になるのはここだけなのですが、部分矯正で直せますか?裏側矯正が希望です。
当院からのお返事
ご質問者様のように「気になっているのはここだけなので、部分矯正でお願いします」というごご要望を頂くことは珍しくありません。
ただ、ご要望にお応えできることはあまりありません。理由は「気になっているここだけの部分」はその他の「気になっていない部分」のズレが原因になっていることがほとんどだからです。
例を示します。下図はご質問者様と同様に2番目の歯が内側に入っています。なぜこのようになっているのかというと、下図右側の6番が左側6番に比べて手前にずれているからです。このため、2番目の歯が内側に入っている状態を改善するためには奥歯を含めた治療が必要になるのです。
先ほどの写真を模式化すると以下のようになります。
奥歯の非対称性を改善ぜずに凸凹の治療を行うとどのような治療結果になるかを示したのが下図になります。凸凹改善のためのスペース獲得は歯列の拡大によります。凸凹は改善しますが、正中が図の左側にずれてしまいます。奥歯の位置が左右非対称であることが原因です。
では実際の治療はどのように行われるかというと、図の右側の奥歯を後方に移動して左右対称な関係にする方法が一つ目です。こうすることで正中のずれを生じずに凸凹を改善することができます。
2つ目は抜歯をして奥歯を左右対称な位置関係にする方法です。この方法だと前歯を後方移動することも可能になります(抜去歯は灰色で表示しています)。
下手な例えですが風邪をひいてくしゃみと鼻づまりがあったとします。内科を受診して「くしゃみは気にならないので鼻づまりだけ治せますか?」と聞かれたらお医者さんは困惑するでしょう。
くしゃみも鼻づまりも原因は風邪ですから、風邪の治療を行います(現実的には対処療法ですが、これはたとえ話です)。
矯正治療も同じで「気になっているここだけの部分」を治すために「気になっている症状を引き起こしている部分」から治療します。そのため部分矯正で患者様のご要望にお応えできることはあまり多くないのです。
*このページは実際に患者様からメールで頂いたご質問に対する当院のお返事を中心に記載しております。そのため、患者様からの質問内容については年齢、性別、文章の特徴等、Q&A形式で考えて問題ない範囲でデフォルメして記載しております。また、内容的にも理解が得られやすいよう私の方で適宜解説を追加・改変して記載しておりますので実際の遣り取りとはかなり異なることがございますのでご了承ください。
治療の目安
- 治療内容
- 矯正装置を通じて歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かし、歯並びと噛み合わせを治します。
- 一般的な治療費総額の目安(自費)
- 大人 唇側矯正治療 約850,000円(税込)
- 治療期間・回数
- 矯正 2年前後・1回/月 保定 2年前後・2~4回/年
- リスク、副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- リテーナー(保定装置)を適切に使用しない場合は、後戻りすることがあります。