上下顎前突治療例1
症状
主訴は前歯のでこぼこと、横顔(口唇の突出感)。
上顎中切歯に翼状捻転が認められますが、不足しているスペースはそれほど多くなく、この程度の凸凹ですと抜歯をしなくても歯を配列することは容易にできます。
このような症例の場合、口唇の突出感が認められるか否か、さらには矯正治療に対して患者様がどのような結果を期待しているか、によって抜歯するかどうかが変わってきます。
この症例の場合、患者様が口唇の突出感の改善を訴えていましたから話が早いのですが、そうでない場合には悩むところです。歯科医師によって判断がわかれることもありそうです。
治療
口唇の突出感の改善を治療計画に組み込むため上下顎両側の第一小臼歯(犬歯の後ろ、前から数えて4番目の歯)を抜歯して矯正治療を行うことにしました。また、上顎左右側の大臼歯部に歯科矯正用アンカースクリュー(ミニインプラント)を固定源として用いることにしました。
治療期間は1年8か月でした。口唇の突出感の改善も顕著です。
治療の目安
- 主訴
- 前歯のでこぼこと、横顔(口唇の突出感)
- 診断名
- 上下顎前突症
- 年齢
- 19歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- マルチブラケット装置、歯科矯正用アンカースクリュー
- 抜歯部位
- 上下顎両側第一小臼歯
- 治療期間
- 1年8か月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約890,000円(税込)
- リスクと副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
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