下顎第二大臼歯の水平埋伏治療例1(上顎両側第一小臼歯、下顎両側第二小臼歯抜歯)
症状・治療方針・治療
初診時年齢:22歳
性別:女性
主訴:八重歯が気になる
症状・治療方針
上顎両側側切歯が舌側転位していて、両側犬歯が八重歯になっています。また、本症例で特徴的なのは下顎の両側第二大臼歯が傾斜していて半埋伏状態にあることでした(治療前レントゲンの赤い丸で囲った部分)。ほぼ水平埋伏状態で一見すると親知らずかと思うほどです。さらにはその後方には第三大臼歯も水平埋伏しています。難易度は高いなと感じましたがとにかく第二大臼歯を整直(アップライトともいいます)して利用する以外に選択肢はないので叢生の改善と第二大臼歯の整直を治療目標としました。
上顎の叢生改善のスペース獲得のために上顎の第一小臼歯を抜歯、下顎に関しては凸凹は軽度ですが第二大臼歯整直のためのスペースを全て後方に求めるのは無理なので、前方にスペースを確保する目的で両側の第二小臼歯を抜歯しました。また、矯正治療前に下顎両側第三大臼歯も抜歯しました。
治療中の下顎歯列の写真は第二大臼歯に装置を装着して第二大臼歯を整直し始めたところです。
治療について
治療前後のレントゲン写真の赤丸部分を比較するとほぼ水平埋伏状態だった下顎の第二大臼歯が整直しているのがわかります。
治療の目安
- 主訴
- 八重歯が気になる
- 診断名
- 両側下顎第二大臼歯近心傾斜を伴うAngle2級叢生
- 年齢
- 22歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- 唇側矯正装置、歯科矯正用アンカースクリュー
- 抜歯部位
- 上顎両側第一小臼歯、下顎両側第二小臼歯
- 治療期間
- 21か月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約880,000円(税込)
- リスクと副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- また、治療当初は装置が舌にあたり、発音のしづらさや食べづらさなど感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- 矯正治療は患者様の協力度に左右されることのある治療です。顎間ゴムなどを歯科医師の指示通りに使用しないと期待した治療結果が得られないことがあります。