鋏状咬合の治療例2(上下顎両側第一小臼歯抜歯)
症状・治療方針・治療
初診時年齢:26歳
性別:女性
主訴:かかりつけの歯科医院で鋏状咬合を指摘された
症状・治療方針
上下顎前歯部に軽度な凸凹(叢生)が認められます。また、右側7番が鋏状咬合となっています。多くの患者様にとって前歯の凸凹は自覚しやすいと思いますが、鋏状咬合は奥歯の凸凹ともいえます。
本症例においては右側の7番が下顎7番の頬側に位置しており咬み合っていません。
鋏状咬合を放置すると咀嚼によって断続的に下顎歯に舌側方向への咬合力が加わり、酷いケースでは下顎歯がほぼ真横を向いたような状態になることもあります。抜歯部位は上下顎両側4番に加えて上顎両側の8番(親知らず)です。
治療について
上顎の8番を抜歯したことで7番を舌側に移動するスペースを確保することができました。治療経過の写真では既に鋏状咬合は改善しており、前歯部の後方牽引を行っているところです。臼歯の鋏状咬合を呈する患者様においては最初にポーターなどの矯正装置を用いて鋏状咬合を改善してから、一般的な抜歯矯正を行うことが多いため、治療期間は平均すると6か月ほど長くなる傾向があります。
治療の目安
- 主訴
- かかりつけ医院で鋏状咬合を指摘された
- 診断名
- 右側7番の鋏状咬合を伴うAngle1級上下顎前突症
- 年齢
- 26歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- 唇側矯正装置、ポーター、歯科矯正用アンカースクリュー
- 抜歯部位
- 上下顎両側第一小臼歯
- 治療期間
- 29か月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約880,000円(税込)
- リスクと副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- また、治療当初は装置が舌にあたり、発音のしづらさや食べづらさなど感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- 矯正治療は患者様の協力度に左右されることのある治療です。顎間ゴムなどを歯科医師の指示通りに使用しないと期待した治療結果が得られないことがあります。