上下顎前突治療例4(上下顎両側第一小臼歯抜歯、唇側矯正装置)
症状・治療方針・治療
初診時年齢:15歳
性別:女性
主訴:前歯のでこぼこ、前歯が出ている
症状・治療方針
上下顎前歯がに凸凹があります(叢生)。特に下顎前歯に顕著です。また、上顎両側中切歯が唇側傾斜しています。顔貌所見としては口唇閉鎖時にオトガイ筋に強い緊張感があり、E-lineに対して上下口唇が前方位にあります。
このような症例を非抜歯で治療する場合、歯列を拡大して叢生改善のためのスペースを確保することになり、口唇の突出感が悪化してしまいます。
このため、上下顎両側の第一小臼歯を抜歯し、叢生改善のスペースを確保するとともに上下顎前歯を後方移動することで口唇の突出感の改善をはかることを治療目標としました。
使用装置は唇側矯正装置と、前歯部を最大限後方移動するために固定源として上顎に歯科矯正用アンカースクリューを植立することにしました。
初診相談時に歯科矯正用アンカースクリューの説明をすると大変に驚かれる患者様もいらっしゃいますが、手術自体はごく簡単な処置で麻酔をかけるのに15分程度、植立処置自体は1分程度です。また、術後の痛みもほとんどありませんのでご安心ください。
治療結果
叢生も改善し、上顎中切歯の唇側傾斜も改善したため、口唇閉鎖時のオトガイ筋の強い緊張感も消失しました。E-lineに対する上下口唇の位置関係は上唇がやや内側、下唇はほぼE-line上となり口唇の突出感の改善が顕著です。
治療の目安
- 主訴
- 出っ歯
- 診断名
- 叢生を伴う上下顎前突症
- 年齢
- 15歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- 唇側矯正装置、歯科矯正用アンカースクリュー
- 抜歯部位
- 上下顎両側第一小臼歯
- 治療期間
- 25か月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約900,000円(税込)
- リスクと副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 治療当初は装置が舌にあたり、発音のしづらさや食べづらさなど感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- 矯正治療は患者様の協力度に左右されることのある治療です。顎間ゴムなどを歯科医師の指示通りに使用しないと期待した治療結果が得られないことがあります。