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矯正歯科で処方する抗生物質(ジスロマック)
日本での商品名はジスロマック(ファイザー)。マクロライド系の抗生物質です。錠剤とシロップがありますがここではシロップを取り上げてみようと思います。下の写真がシロップ状のジスロマックSRです。
ジスロマックSRを他の抗生物質と比較したときの最大の特徴は1回服用すれば効果が1週間持続するということです。抗生物質は1日3回服用するタイプの製品が多いですが、仮に1日3回3日間の服用を医師から指示されて、その通りに服用する患者様は50%に満たないそうです。
1日3回毎食後の服用を3日続けられる人は50%もいないことがジスロマックを他の抗生物質と差別化しているゆえんです。ジスロマックSRは体内での代謝が遅く、組織内の半減期が約70時間あります。この薬は徐放製剤なので1回の服用で有効な血中濃度が1週間持続します。 また、下の写真のように1日1回2錠を3日間連続して服用する錠剤タイプのジスロマックもあります。これもジスロマックSR同様1週間効果が持続します。
ジスロマックの最大の長所はまさにここです。飲み忘れが少ない(ジスロマックSRに至っては医師の目の前で飲んでもらえば飲み忘れは無い)こと。他の抗生物質の多くが1日3回処方であることと比べるとジスロマックSRの1回の服用で1週間効果が持続するということがどれほど重要なことかわかります。
1日3回服用の抗生物質を1週間効かせようと思えば1日3回8時間毎、合計21回の処方になりますが、1日3回3日間をきちんと服用できる患者さんが50%未満ですから、1週間となればもっと少ないパーセンテージに落ち込むのは明らかです。その点、ジスロマックSRは一回服用してしまえば後は何もしなくてもいいですから飲み忘れという観点からは安心です。反面、副作用(主に下痢などの胃腸障害)が現れた場合、1週間続いてしまうというデメリットもあります。また、マクロライド系は比較的耐性菌の多い抗生物質でもあります。
1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 | |
ジスロマックSR 計1回服用 | 1日1回服用 | 効果持続 | 効果持続 | 効果持続 | 効果持続 | 効果持続 | 効果持続 |
ジスロマック錠剤 計3回服用 | 1日1回服用 | 1日1回服用 | 1日1回服用 | 効果持続 | 効果持続 | 効果持続 | 効果持続 |
一般的な抗生物質 計21回服用 | 1日3回服用 | 1日3回服用 | 1日3回服用 | 1日3回服用 | 1日3回服用 | 1日3回服用 | 1日3回服用 |
用法 食事の前後2時間を避け、空腹時に服用します
*1回服用すると1週間効果が持続します
効能
細菌の増殖を抑えるお薬です
細菌のタンパク質合成を阻害し、細胞の増殖を抑えます。元々の細菌に対しては人間の免疫反応に依存します。ジスロマックと同じマクロライド系の他の抗生物質(クラリス、クラリシッドなど)と異なり濃度依存型の抗生物質です。なお、クラリスなど他の一般的なマクロライド系抗生物質はグラム陰性菌にあまり効かず、セフェム系抗生物質などと比較して臨床的なキレが悪く抗生物質としての利用は減っています(抗生物質としての利用は減っていますが耳鼻咽喉科領域で通常の半量を長期投与する利用法が見つかり増えているようです)。マクロライド系抗生物質は白血球の中に蓄積しやすいという特徴があるため、感染病巣へ薬剤が運ばれやすいという性質もあります。
注意
以下のお薬を処方されている方はお伝えください(併用注意) ワルファリン(商品名:ワーファリンなど):血栓塞栓症の治療及び予防に用いられます ジゴキシン(商品名:ジゴキシン):狭心症などの治療に用いられます シクロスポリン(商品名:サンディミュン、ネオーラルなど):臓器移植による拒絶反応の抑制や自己免疫疾患の治療に使用されます 授乳産婦:このお薬は母乳中への移行が報告されています(ラット)。授乳中の方は授乳を中止しお伝えください。
その他 このお薬の利点は1回の服用で1週間効果が持続することです。飲み忘れによる薬効の減弱を懸念する必要がありません。欠点は副作用(多くは下痢などの胃腸障害)が発現した場合でも服用を中止することができず、下痢などの副作用が持続する可能性があることです。 アクイユ矯正歯科ではジスロマックSRを処方する際に、ビオフェルミンRを同時に処方しています。胃腸障害を完全に抑制できるわけではありませんが併せて服用してください。