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消毒、滅菌についてのご質問
患者様からのご質問
先生のHPをみてメールさせていただきました。半年に一度かかりつけの歯科医院で歯石掃除していただいてます。都内(杉並区)あたりで先生のようにきちんと消毒して診療されてる歯科をご存じないでしょうか?
当院からのお返事
ご質問の件ですが、大変申し訳ありませんが存じ上げません。
ただ、ホームページなどを見れば大凡のことは分かると思うのと、診療台に座った時に歯を削る機械が既に装着されていたら滅菌されていない可能性のほうが高いと思います。
ミラーやピンセットなどは故障しないので、使うか使わないかわからなくても全ての患者様毎に滅菌済みの器具を使用しますが、タービンなどのハンドピースは精密機械なので頻繁に高圧蒸気滅菌をすると頻繁に故障してしまいます。そのため、治療の必要に応じて使用する際に装着することになります。
治療後の後片づけをする立場になれば、治療後にタービンが装着されていれば使用したと判断できるので外して滅菌に回します。この状態で次の患者様が診療台に座れば歯を削る機械は何も装着されていない状態になります。
滅菌は突き詰めていくと「治療は全て無菌室でおこなうべき」となってしまい、現在の歯科医院を取り巻く環境を考えれば現実的ではありません。
口の中に入れる物は全て滅菌されているべき、というのも考えようによってはレストランのスプーンやフォークはどうなんだ?という話になります。あれは食器洗い機で洗っただけです。
食事中に頬を噛んでしまい出血することもありますから、日常生活を送る限り感染リスクから逃れることは困難なのかもしれませんし、現実問題としての感染リスクは無視できるほど小さいものと考えてもいいでしょう。
ただ、医療機関としてはその部分をおろそかにしてはいけないと考えて取り組んでいるのですが、やはり義務化されないと普及は難しいでしょうね。
歯科医院における消毒・滅菌について
先日、新聞で大々的に取り上げられた『歯を削る医療機器を滅菌せず使い回している歯科医療機関が約7割に上る可能性のあることが、国立感染症研究所などの研究班の調査でわかった。』というニュース。 http://archive.today/cuw4k http://archive.today/O6LW5
このニュースがあってから当ホームページのアクセス数が突然増えました。やはり関心は高いようです。 当院の衛生管理については以下のページをご覧ください(歯科用ハンドピースの滅菌について、アクイユ矯正歯科クリニックの衛生管理)。
どうして歯を削る医療機器の滅菌が普及しないのか?ということの最も本質的な部分、滅菌にかかるコストについて書いてみたいと思います。 クリニックの規模によって大きく異なりますしが、平均的な一般歯科医院で歯を削る医療機器(ハンドピースといいます)を患者毎に滅菌しようと決めた場合、ハンドピースを新規に50本は購入する必要があります。ハンドピースの値段もピンキリですがボリュームのある価格帯としては1本7,8万円程度でしょう。7万円なら350万円、8万円なら400万円の資金が必要です。これが初期投資。さらに、滅菌に関わる人件費です。1日4時間、時給1000円でアルバイトを雇用したとすると4000円×20日で80000円、交通費なんやらで10万円が毎月かかります。さらに、修繕費。滅菌は精密機械であるハンドピースに負担をかけますから50本あると月に2,3本は壊れます。そして、ハンドピースは壊れると修理代もほとんど決まっていて4万円です。なぜかというと、ハンドピースは筒のなかにカートリッジが入っているだけの単純な構造で、壊れたらカートリッジごと交換することがほとんどなのです。だから決まって4万円。これが月に2~3本ですから毎月10万円の修繕費が発生するのです。 初期投資400万円+毎月の固定費(人件費+修繕費)20万円 現在の歯科医院を取り巻く環境では、自発的な行動を期待する方が無理というものでしょう、、、
*このページは実際に患者様からメールで頂いたご質問に対する当院のお返事を中心に記載しております。そのため、患者様からの質問内容については年齢、性別、文章の特徴等、Q&A形式で考えて問題ない範囲でデフォルメして記載しております。また、内容的にも理解が得られやすいよう適宜解説を追加して記載しておりますのでご了承ください。