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マウスピース型矯正装置「インビザライン」の治療経過(3)
~マウスピース型矯正装置「インビザライン」の治療経過(3)~
このコラムは前回からの続きです
治療開始から9ヶ月後、アライナー18番終了時点での口腔内写真とクリンチェック(シミュレーション)の比較です。
歯の移動距離の大きな抜歯症例ですが、比較的クリンチェックに近い状態で治療が進行していると思います。
とはいえこれだけの誤差に留めるには相当真面目にアライナーを使用しないと達成されません。抜歯症例のように歯の移動量が大きな症例では、とりわけ治療中盤移行、少しでも気を抜くとあっという間に不適合になりケースリファイメントになってしまいます。
また、許容範囲内ではあるもののこのあたりまでくるとインビザラインで予測実現性の低い動きが少しずつ認識できるようになります。
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口腔内写真右側面と左側面に描いた白い線は歯の傾斜移動(ティッピング)といって望ましい動きではありません。抜歯部位の左右の歯が抜歯部位に向かって若干傾斜しています。クリンチェック上では平行移動していますが、本来インビザラインは抜歯症例のように大きな歯の移動を伴う治療は苦手なのです。
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もう一つが口腔内写真右側面に青い丸で書き込んだところです。傾斜移動とも密接に関わることですが上下の歯列を緊密に咬み合わせることがインビザラインでは難しいことがあります。そもそもインビザラインを装着すると上下の歯は咬み合いませんし唇側矯正装置や舌側矯正装置のように部分的にワイヤーを屈曲して調節したりといったことが出来ません。とりあえずこのまま治療を継続してケースリファイメントの際に改善することにします。
9ヵ月後口腔内正面
9ヵ月後クリンチェック正面
9ヵ月後口腔内右側面
9ヵ月後クリンチェック右側面
9ヵ月後口腔内左側面
9ヵ月後クリンチェック左側面
9ヵ月後口腔内上顎面
9ヵ月後クリンチェック上顎面
9ヵ月後口腔内下顎面
9ヵ月後クリンチェック下顎面
下図は初診時と9ヵ月後の口腔内写真の比較
初診時口腔内正面
9ヵ月後口腔内正面
初診時口腔内右側面
9ヵ月後口腔内右側面
初診時口腔内左側面
9ヵ月後口腔内左側面
初診時口腔内上顎面
9ヵ月後口腔内上顎面
初診時口腔内下顎面
9ヵ月後口腔内下顎面
治療の目安
- 主訴
- デコボコの歯並びを治したい
- 診断名
- 叢生
- 年齢
- 33歳 女性
- 治療に用いた主な装置
- マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)
- 抜歯部位
- 上下顎両側第一小臼歯
- 治療期間
- 9か月(治療継続中) / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約870,000円(税込)
- リスクと副作用
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- 歯みがきが不完全なまま長時間マウスピースを装着すると虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めてマウスピースを装着した時や取りかえた後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 小児や骨格性要因を含む症例には適さず、精密な歯の移動は原則として困難で満足な結果が得られない場合があります。
- 適切な装着時間を守らないと歯が動かず、治療期間も延長します。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
【マウスピース型カスタムメイド矯正装置「インビザライン」について】
- マウスピース型矯正装置「インビザライン」は、日本国内では医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けていない未承認の医療機器です。材料については日本の薬事認証を得ております。
- 米アライン・テクノロジー社の製品の商標であり、インビザライン・ジャパン社から入手しています。
- 日本国内において医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けている同様の医療機器は複数存在します。
- 1998年にFDA(米国食品医薬品局)により、医療機器として認証を受けています。
- 日本では完成物薬機法未承認の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。