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歯列矯正治療中の歯磨きについて(1)~虫歯の好発部位
歯列矯正治療中の歯磨きについて(1)
矯正治療中は歯磨きが難しくなりますが、ちょっとしたコツをつかめばその応用で簡単に磨けるようになります。このコラムではそのコツについて説明します。
「毎食後、時間をかけて丁寧に磨いてくださいね」
言うのは簡単ですが、実際に行なうのは容易ではありません。
そこで・・・
まずは矯正治療中に虫歯になりやすい部位を知って、そこから磨き始めてしまいましょう。
漫然と歯磨きをするくらいならこの方が余程効果的です。
虫歯になりやすい部位
(1)ループの下
矯正治療中は様々な形のループがワイヤーに曲げられることがあります。
実はこのループの下の部分が非常に虫歯になりやすいのです。
通常の歯ブラシで上から磨いても届きませんから写真のように大きめの歯間ブラシで磨くようにしてください。
(2)上下顎の側切歯(2番)のブラケット~歯肉の間
(3)上下顎の犬歯(3番)のブラケットの~歯肉の間
矯正治療中、最も虫歯に気を付けなければならない部分です(特に側切歯)。奥歯⇒前歯の順番で磨く患者様、前歯⇒奥歯の順番で磨く患者様も、何故か中間のこの部位には歯ブラシが当たらないことが多いようなのです。
写真のように歯ブラシを斜め45度に傾けて歯肉側から磨いてください。
(4)最後方臼歯のブラケットの後方
この部位は矯正をしていなくても虫歯になりやすい部位ですから注意が必要です。
写真のようにワンタフトブラシを使用するか、歯ブラシのつま先部分を上手に利用して磨いてください。
虫歯になりやすい部位~お子様~
(5)上顎側切歯のブラケットと歯肉の間
(6)下顎前歯のブラケットと歯肉の間
お子様の場合、上記部位は臨床歯冠(歯の長さ)が短いため、歯肉とブラケットの間の歯の面積が非常に小さく、プラークが堆積しやすくなります。歯ブラシを斜めに傾けて磨いたり、凸凹がある場合にはワンタフトブラシなどで丁寧に磨いてください。
それから、矯正治療中は
・普通の歯ブラシ
・ワンタフトブラシ(毛束が一つのもの。矯正歯科医院なら置いているところも多いと思います)
・歯間ブラシ(S、M、Lというように、3サイズくらい)
・デンタルフロス
を用意しておいたほうが安心です。毎日全てを使うことはありませんが、日々歯が動きますので、色々な対処の方法を用意しておいたほうが良いでしょう。
次回は矯正治療中のデンタルフロスの使い方について説明します。
歯ブラシの動かし方は唾液検査キット「デントカルト」を販売している「オーラルケア」の動画で解説していてわかりやすいのでご参照ください。
治療の目安
- 治療内容
- 矯正装置を通じて歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かし、歯並びと噛み合わせを治します。
- 一般的な治療費総額の目安(自費)
- 大人 唇側矯正治療 約850,000円(税込)
- 治療期間・回数
- 矯正 2年前後・1回/月 保定 2年前後・2~4回/年
- リスク、副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- リテーナー(保定装置)を適切に使用しない場合は、後戻りすることがあります。