上顎治療例6(唇側矯正装置、抜歯)
症状
主訴は出っ歯を治したい、気になる症状として口が閉じにくいとのことでした。
下の前歯よりも上の前歯が10mmを超えて突出している出っ歯です。加えて下顎の前歯が上顎の口蓋歯肉に咬みこんでいます(過蓋咬合)。典型的といえばそうですがここまでの典型例もそうそう見かけません。
患者様ご自身も自覚しているように、口唇の突出感や、口唇閉鎖時のオトガイ筋の過緊張といった上顎前突、上下顎前突特有の顔貌所見も認められました。
治療
上顎両側の第一小臼歯を抜歯し、そのスペースを利用して上顎前歯を後退させることを計画しました。上顎の大臼歯が手前に動かないようにホールディングアーチを使用しました。
このような症例の治療では、出っ歯そのものの治療よりもむしろ過蓋咬合の改善に時間がかかることがほとんどです。過蓋咬合というのは患者様ご自身で認識されていることが少ないのですが、前歯を引込めようにも過蓋咬合を先に治療しないと下の前歯が邪魔をして上の前歯を引込めることができません。同じ対処をしても患者様によって反応が異なるのは矯正治療も生体を相手にしていますから致し方ないかなと思います。
過蓋咬合の治療に少し時間がかかり、治療期間は2年5か月でした。 口が閉じにくいという患者様の主訴も改善できました。
治療の目安
- 主訴
- 出っ歯
- 診断名
- 上顎前突
- 年齢
- 14歳 男性
- 治療に用いた主な装置
- マルチブラケット装置
- 抜歯部位
- 上顎両側の第一小臼歯
- 治療期間
- 2年5か月 / 月に約1回の通院
- 治療費
- 約870,000円(税込)
- リスクと副作用
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- 治療中は歯みがきしにくい箇所ができるため、虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、念入りな歯みがきが必要になります。
- 初めて矯正装置を装着した時や調整した後は、疼痛や圧迫感などを感じることがあります。
- 歯並びを整え、咬み合わせを改善するために、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
- 歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
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